カン・テウル インタビュー


2004年から4年間、劇団四季に神崎翔馬の名前で在籍し、帰国後も数々の大作に出演して、韓国ミュージカル界のスターになったカン・テウルさん。
彼が9年ぶりに日本のステージでパフォーマンスを披露する。今までの足跡、「アイ・ラブ・ミュージカル」出演の意気込みなどをソウルでじっくりと聞いた。

7月某日、ブルー系のストライプのスーツを着て、約束した明洞のホテルのロビーに現れた。背が高く、鍛えられた身体で、やはり目を引く存在感だ。
しかし、話し出すと穏やかな笑顔で、気さくにどんな質問にも答えてくれた。


立花「テウルさんはどちらのご出身ですか?」
テウル「生まれは釜山(プサン)で、中学生の時にソウルに転居しました」

立花「ミュージカルを目指したきっかけを教えてください」
テウル「もともとはロックが好きで、歌手を目指していたのですが、
父から『最初は演技を勉強したほうがよい』とアドバイスされて、ソウル芸術大学に入学しました。その頃、大学でミュージカルがブームで、
演技も歌もダンスも出来るので、面白いなと思い、大学内の公演『FAME』のオーディションを受け、ニック役で出演しました。
それからミュージカルが大好きになりました」

立花「劇団四季に入るきっかけはどんなことだったのですか?」
テウル「当時の大学の恩師が『テウルにはミュージカルの適性がある』と言ってくださり、
四季を薦めてくれて2003年にオーディションを受け、2004年に入りました」

立花「神崎翔馬の名前で活躍されましたね」
テウル「この名前は私の苗字が姜(カン)なので、神崎が良いかなと思い、
父が『名前の中に馬の漢字が入っていると良いのでは』と言ったので、神崎翔馬になりました」

立花「四季で最初に出た作品は何ですか?」
テウル「『ジーザス・クライスト=スーパースター』の地方公演でした。
当初はアンサンブルでしたが、一か月後にはシモン役で出演しました。プロの舞台が初めてだったので、とにかく頑張った記憶しかありません。
その後は『マンマ・ミーア』『アイーダ』に出演し、韓国の『ライオンキング』に出ました。
日本に戻ってからは再度ジーザス、そして『CATS』のマンカストラップ役で出演しました」

立花「今回、出演する井上智恵さんも『アイーダ』に出られていましたよね?」
テウル「智恵さんはとても優しくて、韓国の俳優にも笑顔で、とてもフレンドリーに接してくださいました。智恵さんにも早く会いたいですね」

立花「『CATS』はいかがでしたか?」
テウル「もともとダンスは得意ではありませんでしたが、四季入団後はバレエ、ジャズダンスを毎日練習し、
『アイーダ』の頃にはかなり上達していました。四季の大先輩の方がマンカストラップ役を薦めてくれました。
マンカストラップは大変な役でした。ダンスも一番前で踊っていますしね。
デビューのステージの一幕が終わったら全身が筋肉痛で、涙を流しながら演技していました」

立花「四季を辞める際は何かきっかけがあったのですか?」
テウル「私の家族の体調が悪くなり、プライベートな事情もあって、マンカストラップでデビューしたら、韓国に戻りたいなと思うようになり、辞めました」

立花「帰国後はいろいろな作品に出られていますよね」
テウル「韓国に戻って『大長今』『ロッキーホラーショー』に出演して、その後に『DON JUAN』のドンファン役に決まりました。
四季で一緒だったコ・ヨンビンさんが演出家を紹介してくださり、出演がすぐに決まりました。その後は『アサシン』『HEDWIG』にも出ました」

立花「ドラッグクイーンの役にもチャレンジしたのですね」
テウル「『HEDWIG』はもっと自分がしっかり演技の勉強をして、また出てみたいなと思った作品でした。
その後は『モンテクリスト伯』『RENT』に出演しました」

立花「RENTのロジャー役はいかがでしたか?」
テウル「大学の時から演じたい役だったので、オーディションを受けました。大変でしたが、好きな作品で好きな役だったので、ロジャーは最高でした。
その後は『ハムレット』、『モーツァルト オペラロック』ではサリエリを演じました」

立花「『モーツァルト オペラロック』はフランスの作品ですね。曲は難しかったのではないですか?」
テウル「ロックオペラなので、発声をロックだけでなくクラシック的にしないと後ろのオーケストラに負けてしまうのです。そこが難しかったですね。
サリエリは四季で一緒だったキム・ジュンヒョンとダブルキャストでした」
 
立花「そして、韓国オリジナルミュージカルの名作『あの日々』に出演ですね」
テウル「はい、そうです。韓国の伝説的なソングライターのキム・グァンソクさんの音楽で綴った作品です。
韓国大統領府(青瓦台)の警護役の男性二人の友情を描いた作品で、私はジョンハク役を演じ、もう一人の警護役のムヨンをチ・チャンウクらが演じました」

立花「今年は充電期間なのですか?」
テウル「休んで、自分のことを考え直してみたいという気持ちが少し前から強くなりました。自分のことを実際には分かっていないと感じたのです。
今年は休んで良かったなと感じています。自分の内面と向かい合って、あらためて歌う事が好き、ミュージカルが好きだと実感して、
これから出演する作品ではもっとこの気持ちを注ぐことが出来ると思います。以前とは歌も変わったと思います。
演技をしながら歌うことの出来るミュージカルは私には運命的な仕事です」

立花「『アイ・ラブ・ミュージカル』コンサートでのテウルさんの歌声に期待が高まりますね。
今回、私が出演のオファーをした時には正直、どのような気持ちでしたか?」
テウル「日本に行こう、皆さんに私の姿をお見せしたいと思いました。
いろいろ自分を見つめ直したので、新たな自分の魅力を日本の皆様にご覧いただきたいですね」


インタビューは約一時間に及んだが、終始穏やかな表情で、時に言葉に力を込めながら、いろいろな話をしてくれた。
9月2日、3日の「アイ・ラブ・ミュージカル」では、今までにないカン・テウルさんに会えるとあらためて強く感じ、9月の再会を約束して別れた。
アナタにもぜひカン・テウル、そして韓国ミュージカルの魅力にこの機会に触れていただきたい。

(取材・文 立花裕人)

主催:I Love Musical製作委員会(BS日テレ、FTエンタテインメント)